Consultation Examples of Will and Testament
当事務所への遺言書作成に関するご相談の内、
特に遺言書作成に役立ちそうな内容を
ピックアップしてご紹介いたします。
★タイトルをクリックすると事例を表示します。
- 遺言作成の準備で、必要なものは何ですか? ▼
-
●財産目録を作り相続財産を確認する(下表をご覧ください)
●誰に(相続人等)何を(財産)相続させるのか検討する
●遺言書作成を相談したい行政書士、税理士など士業の者を選定する財産の種類 必要事項 プラス
の財産不動産 土地(自宅敷地・事業用地・貸宅地・農地・山林など)
建物(自宅・貸家・店舗・工場など)地番・面積(登記事項証明書に記載)、評価額(路線価・実勢価格) 金銭 現金、預貯金 金額、金融機関、支店名、預貯金の種類、口座番号 有価証券 株式、国債、公社債、証券投資信託、貸付投資信託、手形、小切手など 証券会社、銀行など取扱機関、株式の数量、証券番号 保険(受取人が遺言者のもの) 生命保険、損害保険、共済など 契約先、証券番号、死亡保険金額 権利関係 借地権、借家権、ゴルフ場会員権、著作権、特許権、電話加入権など 契約先、契約証、金額など 物品 自動車、貴金属、宝石、骨董、書画、家具、家電製品など 評価額など その他 墓地、墓石、仏壇 契約先、墓地管理料など マイナス
の資産各種ローン、借金など 契約先、金額など
- 妻に全財産を相続させたい(子がいない場合) ▼
-
遺言者の妻と、遺言者の両親(両親がいない場合は祖父母)が相続人の場合、法定相続分は、妻が2/3両親が1/3となります。
妻に全財産を相続させるには遺言が必要です。
ただし、両親には財産全体の1/6(1/3×1/2)の遺留分があるので「全財産を妻に相続させる」と遺言しても、 遺留分の減殺請求があれば1/6を渡さなければなりません。
遺言者の親が亡くなっており、相続人が妻と遺言者の兄弟姉妹(*)の場合は、 兄弟姉妹には遺留分がないので「全財産を妻に相続させる」と遺言しておけば 妻へ全財産を渡すことができます。
* 代襲相続の甥・姪を含む
- 妻に全財産を相続させたい(子がいる場合) ▼
-
遺言者の妻と子が相続人である場合、法定相続では妻1/2、子が1/2を人数分で均等(*)に分けると決められています。
妻に全財産相続させたいと思っていても、子には財産全体の1/4(1/2×1/2)の遺留分があります。 子が遺留分を求める場合はそれを渡さなくてはなりません。財産が自宅の建物・土地だけなら、 建物・土地を売ったお金で払わなくてはならないケースもあるでしょう。
ただし、今回の相続では妻に全財産を相続させたとしても、妻が亡くなっている場合の相続では、相続人は子だけになります。 この点の説明も一緒に子が遺留分の放棄をしてほしい旨を記載して減殺請求をしにくいようにすることも 法的効力はありませんが有効です。
* 平成25年9月以後は嫡出子と非摘出子の相続分は同等となります。
- 子の相続分に差をつけたい ▼
-
複数の子どもの中にとくに世話になった子がいる場合など、遺言で相続分に差をつけることができます。
通常、子の法定相続分は、長男次男などに関わらず平等です。結婚したり、養子縁組(一般養子)で姓が変わってもその相続分は変わりません。
例えば、同居している長男に、今後も残された妻の世話を頼むつもりであれば、長男の相続分を多く配分すればよいでしょう。
相続人が妻と子3人であれば、妻が1/2、子はそれぞれ1/2×1/3=1/6が法定相続分になります。 妻の相続分は1/2のまま、長男以外の子の遺留分を侵害しない範囲で長男の相続分を多くしたい場合は、 長男の相続分を1/3とします。残る2人の相続分は遺留分に等しい1/12(1/6×1/2)ずつとなります。
また、妻の相続分を少なくすれば、長男に1/3以上相続させることも可能です。 トラブルの心配がなければ、他の相続人の遺留分を侵害する相続分を指定することもできます。
- 先妻の子に多く相続させたい ▼
-
先妻と別れ、再婚して両方の結婚で子供がいる場合、先妻の子と後妻の子との法定相続分は同じです。
しかし、後妻の子は、いずれ後妻が亡くなった時に、後妻が遺言者から引き継いだ財産も相続することになります。
公平な相続(公平に財産を分けたい)をしたいと思われるようでしたら、先妻の子に多く相続させておくのがよいでしょう。 ただし、先妻の子が後妻の子と養子縁組していれば、後妻の死後、両方の子たちは後妻の財産を 均等に相続することができます。
- 会社や店を長男に継がせたい ▼
-
遺言者がオーナー経営者である場合、子を後継者にするには、
会社の株式(出資持ち分)と事業用資産の両方を相続させます。
株式会社では自社株式を、有限会社では出資持ち分を相続させます。 その他、遺言者個人が所有する財産のうち、事業用にあてられている資産(現金、売掛金、買掛金、債権、電話加入権、 不動産、在庫品、原料、営業権、特許権、意匠権、のれん、備品など)も相続させます。
個人事業の場合でも、事業用の資産を特定し後継者に相続させておかないと、その他の財産とともに遺産分割の対象になってしまい、 事業を継ぐことができなくなってしまうことがあるのでご注意下さい。 ただし、事業用資産を後継者に相続させた場合、他の相続人の遺留分を侵害することもあるので配慮が必要です。
- 長男に墓や仏壇を継がせたい ▼
-
先祖代々の墓地や墓石、仏壇仏具、位牌、神棚、系図などを祭祀財産といい、これを受け継ぐ人を祭祀承継者といいます。
これは生前でも遺言でも指定することができます。
祭祀財産は遺産分割の対象となる相続財産ではないので、相続人の誰でも指定することができますが、 墓地の永代使用権の承継には制限があるケースもあるので、墓地管理者への確認が必要です。
また、墓地の永代使用権は財産として価値の高い場合もありますが、高額な維持費や先祖の供養に費用がかかることもあります。 祭祀承継者には、その分の財産を指定して相続させておくとよいでしょう。
- 内縁(事実婚)の相手に財産を譲りたい ▼
-
事実婚の関係で長年、夫婦として生活してきたとしても、法律上の婚姻関係になければ
内縁関係となり法定相続人にはなれません。内縁の相手に財産を譲りたい場合、
遺言には相手の住所・氏名・生年月日と遺贈する財産を特定して明記します。
法定相続人がいる場合は遺留分への配慮も必要です。
なお、内縁の相手との間に子があり、その子を認知している場合は、子は法定相続人となります。
- 甥や姪に財産を贈りたい ▼
-
相続権のない甥や姪に財産を贈りたい場合は遺言が必要です。(※代襲相続の場合には甥や姪が法定相続人となります)
他に相続人がいる場合にはトラブルのもとになりやすいので、 理解を得られるように財産を送る理由を明記しておきましょう。また、遺留分への配慮も必要です。
相続人が兄弟姉妹のみの場合、兄弟姉妹には遺留分がないので、甥や姪に全財産を贈ることも可能です。
- 財産の一部を寄付したい ▼
-
研究団体や公益法人など、公益事業に寄付をしたいときは、遺贈先の名称、所在地、送る理由を明記しましょう。
財産のすべてを寄付したい場合もあるでしょう。相続人がいない場合は、遺言がなければ 財産は国庫に帰属してしまうので問題ありませんが、相続人がいる場合はトラブルを防ぐために 遺留分への配慮が必要です。
ない、遺贈先が税金を負担しなくても済むためには、
(1) 公益性がきわめて高い事業である
(2) 遺贈された財産を事業のために使う
(3) 特定の者とその家族、親戚によって運営される公益事業ではない
(4) 遺贈されてから2年以内に事業のために使う
と言った条件があります。
- 母親の世話をすることを条件にしたい ▼
-
妻の老後の安定した生活を考えた場合、妻自身に多くの財産を相続させることも考えられますが、
母親の面倒を見ることを条件に、特定の子どもに財産の大半や全部を相続させることもできます。
ただし、他の相続人がいる場合には、遺留分への配慮が必要です。
このように条件をつけて財産を譲る「負担付遺贈」は、相続権のない第三者にもできます。遺言書には条件を具体的に記載しましょう。
受遺者は、遺贈された財産の価額を超えない範囲で、負担した条件の義務を負います。 もしも受遺者である子が相続を放棄した場合には、財産は負担による利益を受けるはずだった母親が相続します。 また、受遺者が遺産を受け取ったにもかかわらず、負担の義務を果たさなかった場合、遺言の効力は消滅しませんが、 他の相続人は負担の履行を請求することができます。相当期間内に履行しない場合は、家庭裁判所に遺言の取り消しを請求することができます。
- 相続人を廃除したい ▼
-
次のような場合には相続人として廃除することができます。
(1) 推定相続人が遺言者を虐待したり重大な侮辱を与えた場合
(2) 推定相続人に著しい非行があった場合
ただし、相続人の廃除には相当の理由が必要で、家庭裁判所に申し立てをして認められなければなりません。
相続人の廃除は生前でもできますが、遺言で廃除する場合は、理由を具体的に記し、遺言執行者を指定します。 遺言者の死後、遺言執行者が家庭裁判所に相続人廃除の申し立てをします。
- 愛人との子どもを認知したい ▼
-
婚姻関係にない男女の間に生まれた子を、父親が自分の子であると認め、
法律上の親子になることを「認知」といいます。子が成人に達している場合、
認知には本人の承諾が必要となります。
子が胎児の時でも認知はできますが、この場合は母親の承諾が必要です。
遺言により認知することも認められています。遺言には子の住所・氏名・生年月日・母親の名前を明記します。 本籍は認知の手続きに必要なので書いた方がよいでしょう。 認知を受けた子は、父親の財産の法定相続人となります。 認知の届け出は遺言執行者が行うので、遺言執行者を指定しておきます。
- 他家に養子にいくと実父母の相続人になれない? ▼
-
養子には2種類あり、一般養子制度による普通の養子と特別養子制度に分けられます。一般養子制度で養子となった場合には、
養父母の嫡出子としての身分を得ますが、実父母やその親族との関係もそのまま続きます。相続人としての順位は実兄弟と同じです。
特別養子制度は、両親と家庭に恵まれない子のための制度で、養子縁組には厳しい条件があり、家庭裁判所の審判が必要です。 特別養子制度では、養子は実父母や実父母の血族との縁が完全に切れて養父母の実子として扱われます。 そのため元の実父母の相続人にはなれません。
- 離婚した場合、相続権はないのでしょうか? ▼
-
結論から言えば「別れた相手には相続権はないが、実子には相続権がある」となります。
離婚により婚姻関係が終了した相手(元の配偶者)は相続人にはなれません。
しかし、離婚した相手との子は、戸籍が同じであっても別であっても血族関係は続いているので相続人となります。
離婚後に再婚をして、再婚相手との子がいる場合、先妻の子と後妻との子の相続分は同等です。
- 外国にいますが遺言書は作れますか? ▼
-
作成できます。【自筆証書遺言】外国で書いた遺言であっても、日本の民法に従って正しい書式で書かれていれば有効です。
【公正証書遺言】公証人の代わりにその国に駐在する日本領事が作成手続きをすることになっています。証人は日本人でなくても構いませんが2名以上必要です。 証人には制限があり、下記に当てはまる人はなれません。
(1) 未成年者(婚姻したものは成人とみなされる)
(2) 推定相続人と遺言により遺贈を指名された者、およびその配偶者と直系血族
(3) 日本領事の配偶者と四親等内の親族、書記、雇い人
- 遺言書の保管で気をつけることは? ▼
-
●死後、発見されることが大事
●死後、公正証書遺言以外の封印された遺言書は勝手に開封できない
●公正証書遺言以外は、死後、家庭裁判所に提出し検認の手続きが必要
保管には工夫が必要です。
公正証書遺言の場合は、原本が公証役場に保管されているので改ざんや紛失のおそれはありませんが、 公正証書遺言があることを家族に知らせておきましょう。
自筆証書遺言や秘密証書遺言は、銀行の貸金庫に保管したり、 信頼できる第三者(遺言執行者に指定した者や弁護士など士業)に保管を依頼するとよいでしょう。
- 遺言を撤回や変更できますか? ▼
-
撤回・変更は何時でも可能です。遺言書が複数ある場合、新しい日付のものが優先されます。
遺言は、遺言者の生存中はいかなる義務も権利も発生しません。 例えば遺言書に「私が所有する美術品を子の◯◯に相続させる」と書いたとしても、 遺言者はその美術品を売却することも出来、その際は遺言書のこの内容は撤回したとみなされます。
遺言をすべて撤回したい場合、公正証書遺言は公証役場で破棄の手続きをするか、新たに撤回する旨の遺言書(自筆証書遺言、秘密証書遺言でもかまわない)を作成します。 自筆証書遺言や秘密証書遺言は、これを破棄したり焼却すれば撤回となります。